日本病院薬剤師会 感染制御認定薬剤師とは

感染制御認定薬剤師

【感染制御認定薬剤師とは?】これから薬剤師を目指すあなたへ ― 感染症と向き合うプロの仕事

こんにちは。
今回は「感染制御認定薬剤師(Board Certified Pharmacist in Infection Control ( PIC )」について、これから薬剤師を目指す学生さんや、新任の薬剤師の方に向けてご紹介します。

「病院薬剤師って、調剤以外に何してるの?」
そんな疑問の答えになるのが、まさにこの分野かもしれません。
日本病院薬剤師会 感染制御認定薬剤師とは⇩
https://www.jshp.or.jp/certified/kansen.html

■ 感染制御認定薬剤師ってどんな資格?

感染制御認定薬剤師とは、感染症に関する専門知識を持ち、病院や施設などで感染症対策の実務に深く関わる薬剤師のことです。

日本病院薬剤師会による認定制度で、いわば「感染のプロ」として医療チームに貢献する役割を担います。

■ 実際にはどんな仕事をしているの?

以下のような業務を担います:

  • 抗菌薬の適正使用の推進(AST活動)
  • 院内感染の予防策の提案・実施
  • 感染発生時の対策チームへの参加(ICT)
  • 感染症サーベイランス(監視・記録)の実施
  • 職員や患者への感染対策の啓発・教育

たとえば、病棟で「この抗菌薬、本当に必要?」という判断を医師と一緒に考えたり、耐性菌の発生を抑える取り組みを行ったり。
単に薬を出すだけではなく、「病院全体の感染を守る」チームの一員として働きます。

実際に私は毎週の環境ラウンドや耐性菌ラウンド(★下記ラウンドブログを参照★)、TDMなどの業務をしています。

■ なぜ今、感染制御が重要なのか?

今、感染制御がこれまで以上に重要になっている背景には、大きく2つの理由があります。

1つ目は、薬剤耐性(AMR)の問題です。抗菌薬が効かない菌が世界的に増えており、抗菌薬の不適切な使用がその大きな要因とされています。新しい抗菌薬の開発は進みにくく、今ある薬を大切に使い続けることが欠かせません。

2つ目は、高齢化による感染リスクの高い患者さんの増加です。高齢の方や免疫が低下している方は、感染症にかかりやすく重症化もしやすいため、院内での感染拡大を防ぐことがより強く求められます。

さらに、新型コロナウイルス感染症の経験を経て、医療現場だけでなく社会全体で感染対策への関心が高まりました。その知識を、一時的なものにせず日常の医療に根づかせていくことが課題です。

感染制御は、患者さんだけでなく、医療従事者や地域を守る取り組みです。薬の専門家である薬剤師が、その中心の一翼を担っています。

■ 資格を取るにはどうすればいいの?

感染制御認定薬剤師を目指すには、次のような条件が求められます:

  1. 病院での実務経験(一定年数)
  2. 院内のでの感染制御に従事
  3. 所定の講習や学会発表、申請手続き
  4. 感染制御に関わる症例20例の提出
  5. 試験に合格する

実際に取得までは時間と努力が必要ですが、得られる知識と現場での信頼は大きな武器になります。

■ どんな人に向いている?

以下に当てはまる方には特におすすめです:

  • 感染症に興味がある
  • チームで働くのが好き
  • 医師や看護師と連携して問題解決したい
  • 臨床現場で活躍したい

感染制御認定薬剤師を目指す前に知っておきたい「大変な点」

① お金がかかる

取得までには、認定試験の受験料や申請料のほか、学会・日本病院薬剤師会の会費、講習会の参加費がかかります。遠方の講習会や学会に参加すれば、交通費や宿泊費も必要です。取得後も、5年ごとの更新で講習会や学会への参加が続くため、費用は継続的に発生します。

② 時間と労力がかかる

前提として、日病薬病院薬学認定薬剤師を取り、感染制御活動の実績を積む必要があります。ICTラウンドや抗菌薬のモニタリングに加え、講習会の受講や書類の準備、試験勉強もあります。日常業務と並行して進めるため、休日や勤務後の時間を使う場面も出てきます。

③ 症例のまとめが大変

自分が感染制御にどう貢献したかを、症例や活動内容として整理して提出する必要があります。日々の業務の中で、介入の内容や経過を記録しておかないと後から作成するのが大変です。(症例の件数などの条件は年度で変わることがあるため、最新の要件をご確認ください。)

④ 取得後も学び続ける必要がある

5年ごとの更新には単位が必要で、更新しなければ名乗れなくなります。「取ったら終わり」ではなく、継続した学習が前提です。

⑤ 職場の理解と環境に左右される

ICTの活動に参加できる環境がなければ、申請の条件を満たせません。施設長などの推薦も必要なので、職場の協力が欠かせない資格です。

それでも目指す価値は?

大変な分、抗菌薬や感染対策の知識が体系的に身につきます。ICTやASの場で、薬剤師として根拠を持って意見を言えるようになる点が最大のメリットです。「日々の業務を記録・整理する習慣が身につく」ことも、見落とされがちな利点です。

 
【徹底解説】感染制御認定薬剤師になるには?要件・費用・更新のポイントまでまとめました!

■ 最後に:未来のあなたへ

薬剤師の仕事は「調剤室の中だけ」ではありません。
感染対策、抗菌薬の適正使用、そして患者さんを守るチームの一員として、薬剤師が果たせる役割はとても大きいのです。

感染制御認定薬剤師というキャリアがあることを、ぜひ知っておいてください。
もし興味があれば、早いうちから「感染」というキーワードにアンテナを張ってみてくださいね。

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2026年10月17日 修正

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